実行委員長挨拶
近年、年次日本SF大会は参加者やスタッフの高齢化が深刻な課題となっていると感じています。かつては大学生が中心となって開催されていた大会も、今ではベテランスタッフによる運営が主流となり、少数精鋭の体制となっています。しかし、それが故に大会の活気が失われ、先細りの状況を招いているのではないかと考えています。
今回の大会では、私が最初に参加した「DAICON6」で感じた想い、私にとっての大会の原点に立ち返り、省力化を図りつつも、もう一度「やって面白かった!」と感じられる大会を実現したいと考えています。
また、より多くの方が参加しやすい環境を整えるとともに、「日本SF大会ってちょっと敷居が高いかも」と思っている方々にも、どのようなイベントなのかを知っていただける大会にしたいと思っています。
現役の漫画家やYouTuberが国会議員になる時代、クリエイターが自らの地位や権利、そして義務について考え、新しい価値観を創り出す世の中です。私たちは、これからの60年を支える新しい世代との出会いの場として、この大会を位置づけたいと考えています。
現在、定例化されすぎたイベントは、居心地は良いものの、新規参入者にとっての敷居を高め、門戸を狭めているのではないでしょうか。特に学生の参加者が少なくなった現状を見て、若い世代への認知度が不足していると感じています。今回ご参加いただいた皆さんが、将来「自分ならこんな日本SF大会をやってみたい」「こんなファンジンや同人活動をしてみたい」と思えるような大会を目指します。
2025年には昭和100年を迎えます。「新しい出会い」と「創造」をテーマに、サイエンスフィクションに限らない幅広いSFの可能性や、SF大会の未来、新時代を担うクリエイターたちとの出会いを考えます。さらに、コロナ禍を経て生まれた新しい文化や価値観を共有し、これからの新時代について皆で考えていきたいと思います。
また、私がこれまで運営に関わってきた「年次日本SF大会」は、学会としての形式を取り、アカデミックな方向を目指していました。今回、「日本工学院専門学校」を会場としてお借りすることができましたことに、心より感謝申し上げます。
第63回日本SF大会
実行委員長 櫻井晋